「湖や川からすくったコップ一杯の水」から生息する魚や水鳥を検出
山中 裕樹教授
Hiroki Yamanaka
専門領域・
研究テーマについて
専門分野について教えてください。
すくい取ってきた水の中に含まれるDNAを分析するだけで、そこに生息している魚や水鳥などを検出できるのが、環境DNA分析です。生物を傷つけることなく、非常に迅速に調査を行えるため、生物多様性調査や水産資源の管理などに利用できるのではないかと、社会的な期待が高まってきている技術です。
この分野の面白さは、どんなところですか?
調査は水をくむだけですから、全く専門家が関与せず実施できます。気をつけないといけないのは、「水試料を汚さないこと」だけです。水をきれいな容器に入れて、分析ができる研究所に送れば、たくさんのデータが迅速に得られます。ですので、市民参加型で長期的・広域的な生物多様性情報をとり続けることが可能です。そのデータに基づいて生物資源管理や環境行政が行われるようになれば素晴らしいと思いませんか?
受験生に向けて
受験勉強のコツを教えてください。
勉強のしかたではなく、「それをしないといけない、それを乗り越えることで行きつける夢・目標」を早くに設定することでしょうね。勉強は、その目的が重要で、それがはっきりしていたらやる気が出ます。細かな勉強のテクニックなどは、二の次でしょうね。あまり大した問題ではありません。
もし先生が先端理工学部の学生なら、どんなプログラムを組み合わせますか?
私なら、生物多様性を保全するためのさまざまな分析とデータ解析を学び、そこから各種指針の策定などができるような専門家を目指すだろうと思います。そのためには、分析の技術やデータ解析、保全の考え方、指針の策定までを学ぶ必要があります。「先端環境モニタリング」「生物多様性サイエンス」「データサイエンス」「SDGs(持続可能な開発目標)」などを組み合わせれば、かなり有益な情報と技術が身につくだろうと思います。