可積分系で交通渋滞やブラックホールの謎を解く
松木平 淳太教授
Junta Matsukidaira
専門領域・
研究テーマについて
専門分野について教えてください。
交通渋滞、ブラックホール、津波、竜巻などのマクロな現象は、非線形波動方程式によってモデル化(数式化)されます。これらの方程式を解くのは一般にはむずかしいですが、数学的な解き方がわかっている可積分系というモデルがあり、エネルギーが集中したまま伝わるソリトン解を持つことが知られています。これらのモデルをコンピュータで計算すれば、現象の謎を明らかにできるのですが、コンピュータは無限の量を扱えず、計算誤差に注意する必要があります。超離散化法によって得られるセルオートマトンモデルを用いると、誤差を気にせずにモデルの計算ができます。また、簡単なセルオートマトンモデルによって渋滞現象も説明でき、現実の社会問題解決にも応用されています。数学、情報科学における理論的な面での発展も数多くあり、この分野が多くの問題の解決に役立つことが期待されています。
専門分野の面白さは、どんなところですか?
可積分系では非常に容易にモデルの計算することができるので、現象の結果をすぐに確認することができます。また、それらを数式で表現したい場合、高校までの数学の知識の組み合わせだけでもかなりのことができるので、研究の最前線にすぐに立つことができます。また、離散化、超離散化によって、コンピュータの力をかなり引き出せますので、人間に何ができて、コンピュータに何ができないか、という問題にもせまれるのではないかと思っています。まだまだ未知のものがたくさん待ち構えており、いろいろな分野との意外な繋がりで発展してきている魅力的な分野です。
受験生に向けて
受験勉強のコツがあればお教えください。
遠回りなようですが、物事の根本まで戻って考えることでしょうか? 公式や解法の暗記に頼ると、どこかで壁にぶつかります。また、単に問題量をこなすだけではなくて、良質の問題をじっくりと解くことが大事です。多くの科目を毎日少しずつ勉強するのではなく、一つの科目を集中的にやって自信をつけてから、次の科目に移るほうが良いと思います。一通りの基礎が身についてから、多くの科目を毎日やるモードに受験前に切り替えればよいでしょう。好きな科目を得意科目にして得点源にするのも、勉強が楽しくなるという意味で大事だと思います。
もし先生が先端理工学部の学生なら、どんなプログラムを組み合わせますか?
現象の数理、情報科学、データサイエンス、人工知能、生物多様性サイエンス