環境にやさしいプラスチックを科学する
~生分解性プラスチック~
中沖 隆彦教授
Takahiko Nakaoki
専門領域・
研究テーマについて
専門分野について教えてください。
高分子材料は身近にあるプラスチックや繊維、ゴムなどの素材です。20世紀は石油化学工業を基にした多種多様のプラスチックが生み出されてきました。超高強度、超高耐熱性など究極ともいえるプラスチックが開発されています。このような高機能な物性を示すのは化学構造ばかりでなく、結晶化度のような物性が大きく寄与します。高分子鎖の形態を核磁気共鳴などの分析機器を用いて解析するのが研究課題です。また21世紀になると環境問題がクローズアップされてきます。そこで廃棄したとき(土中や海中)に微生物により分解される生分解性高分子(バイオプラスチック)の生合成を行っています。
専門分野の面白さは、どんなところですか?
予想もしなかったことが起こり、その原因を究明できた時が面白いと感じます。以前、研究室で次のようなことがありました。
高分子ゲルの濃度依存性を研究していた時のことです。ゲルはゼリーのように水を多く含む高分子の凝集体です。当時の研究室の大学院生にゲルの濃度依存性についての検討を指示していました。ゲルは溶媒に溶かしてから氷水中に急冷して作ってましたが、濃度の一番高い状態、すなわち高分子だけの状態で氷水中に急冷する実験を指示しました。その学生は非常にまじめで、一生懸命実験をする学生で、夜遅くまで実験をしていて疲れていたのか試料を氷水中に入れたまま帰ってしまいました。翌朝、その学生が高分子を分析装置で解析したところ、従来とは全く違う結果でした。最初、私は学生の操作ミスと思い、何回も再現実験を頼みましたが全て同じ結果です。そこで本格的に分子構造解析をしたころ、新しい結晶化プロセスの発見につながりました。その研究成果は、レベルの高い学術雑誌に掲載されました。このような発見は極めて稀ですが、前向きに研究をしていると出会える醍醐味だと思います。
受験生に向けて
受験勉強のコツがあればお教えください。
受験勉強には王道はないと思います。自分を信じてこつこつと努力することだと思います。
もし先生が先端理工学部の学生なら、どんなプログラムを組み合わせますか?
もし先生が先端理工学部の学生なら、どんなプログラムを組み合わせますか?