X線を用いて金属や森林土壌、奈良絵本など多様な試料を分析
藤原 学教授
Manabu Fujiwara
専門領域・
研究テーマについて
専門分野について教えてください。
専門は、主にX線を用いた機器分析化学です。一般的な金属化合物だけでなく、森林土壌・河川水などの環境試料、奈良絵本などの考古試料も対象にしています。いずれも複雑な混合系であるため完全に解明することが難しいですが、いろいろな工夫によって少しずつ理解が深まっています。ここで生まれた新しいアイデアは他の分野にも活用でき、多くの方々に興味を持っていただいています。分析化学とは異なる分野である環境科学や考古学の研究者の方々との交流から、「環境に配慮したものづくり」や「高機能を有する新しい材料の開発」に関連する新しい課題も見つかっており、学生とともに日々取り組んでいます。
この分野の面白さは、どんなところですか?
X線は、高いエネルギーを有する電磁波で、試料に照射すると比較的簡便に多くの情報を短時間で獲得することができます。表面での回折現象(最初のX線と同じ波長のX線の反射)から試料中の原子の並び方を調べること、試料を構成する原子から放射される蛍光X線(最初のX線とは波長の異なる別のX線)から原子組成を明らかにすること、試料から放出される電子のエネルギーより試料中の原子の化学結合状態を知ることなどが可能です。ただ、起こった現象をすべて理解できているわけではなく、新手法の開発・装置の改良・理論の進歩・解析法の考案などやるべきたくさんのことが残されています。
受験生に向けて
受験勉強のコツを教えてください。
何よりも、勉学する習慣をつけることが重要です。誰しも得意科目と不得意科目があると思います。日頃はペースを維持するため得意科目を中心に、夏休みなどまとまった期間は不得意科目に取り組むなどメリハリのある勉強をしてはどうでしょう。また不得意科目については、ひとりでがんばるだけでなく、先生や同級生の協力を求めることも大事です。難しいことですが、早めに計画的に対策されることをお勧めします。
もし先生が先端理工学部の学生なら、どんなプログラムを組み合わせますか?
先端理工学部応用化学課程に入学するとすれば、まず英語を含めた教養科目とともに一般的な「化学の基礎」について学ぶことを考えます。そのうえで、卒業後の進路と関係のある「化学の応用」に関する知識と技術を習得するため、「エネルギー」や「SDGs(持続可能な開発目標)」「生命機能化学」などのプログラムと組み合わせるでしょう。化学を学び、その知識・技術を21世紀の社会で活用するためには、環境学の基礎知識だけでなくその考え方や思想も十分に理解しておく必要があります。多様な考え方を身につけるには、多様な考え方を持つ人が集まっている大学で学ぶべきでしょう。