ロボット競技世界大会に参加・運営。先端技術に触れ、世界とつながる
植村 渉准教授
Wataru Uemura
専門領域・
研究テーマについて
専門分野について教えてください。
この2-3年、Deep Learning(深層学習)の登場により、人工知能(AI)が再び注目を浴びるようになりました。「近い将来にはAIが人間の仕事を奪ってしまうかも」とか、「揚げ句の果てには反乱を起こすかも」などと危惧されています。実際のところは、すぐにそのようなことは起こりません。一方で、世の中に簡易的なAIは浸透しつつありますし、ハードウェア的にはロボットも一般的になりつつあります。そのような次世代の社会において、役に立つ研究分野がまさに人工知能です。一方、IoTを支える技術が無線通信です。
この分野の面白さは、どんなところですか?
工場のオートメーション化を想定したロボット競技大会に参加・運営する私の研究室では、自律移動ロボットを自ら作る楽しみを味わうことができます。自律移動ロボットは、カメラや距離センサなどの情報を基に周辺の状況を把握し、見えない部分なども補って、行動選択をしないといけません。既知の環境下ではなく、未知の出来事が生じる環境を想定して、柔軟な動きをするプログラムが必要です。当然ながら、実際に動かしてみるといろいろと不都合が生じます。自分の想像力のなさを実感するとともに、「こうすれば良かったかも」というエラー&トライアルを積み重ねていくのは、新たな発見に出会える楽しさもあります。
また大会に参加し、運営を行うと、他チームの選手との交流が生まれます。世界大会ですので、外国人ばかりです。言語の壁は高いかもしれませんが、皆、同じ目的を持って集まっていますので、少々言葉が通じなくても、なんとなく伝わります。そしてうれしいことに、プログラミング言語は世界共通です。プログラムを通して海外の研究者とコミュニケーションを取ることができます。先端の技術に触れながら、世界とつながることができる分野です。
受験生に向けて
受験勉強のコツを教えてください。
勉強しているときは、「この勉強が何の役に立つのだろう」と感じることが多いと思います。でも実際にロボットのハードやソフトを作ろうとすると、数学や物理、化学の基礎が重要であることに気づきます。公式を丸暗記するのではなく、「なぜこうなるのだろう?」というのを考えながら勉強すると、その必要性が理解でき、考え方が身につくようになります。
とはいえ、それに気づくのはなかなか難しいので、勉強のコツとしては、自分の性格と向き合って自分が集中できる環境を作るのがおすすめです。たとえば「50分集中して勉強した後、10分ゲームをする」というアメとムチなどを試してみてはいかがでしょうか。
もし先生が先端理工学部の学生なら、どんなプログラムを組み合わせますか?
「モバイルロボティクス」もしくは「先端ロボティクス」「IoT・通信ネットワーク」「人工知能」です。
プログラムは、それ単体で利用する技術ではなく、何かの分野に適用して初めてモノになります。ソフトウェア的な技術であれば「人工知能」を学びたいですし、ハードウェア的な技術であれば「先端ロボティクス」を学びたいです。それら両方を扱うガジェット的な物を作りたいのであれば「IoT・通信ネットワーク」を学びたいです。いずれにしても、自分で何かを作ることができれば、たとえ失敗作でも、良い経験になります。