「ワガママ」な生物同士が安定して共生する不思議
丸山 敦教授
Atsushi Maruyama
専門領域・
研究テーマについて
専門分野について教えてください。
医学・薬学において生物の遺伝的資源が重要視される中、それを支える多様性創出・維持メカニズムを知ることが生物多様性サイエンス分野の使命です。人間活動による生物多様性への影響や、生物多様性がもたらす人間の生活への恩恵についても研究されます。
なぜさまざまな生物が一緒に暮らせるのか、なぜ一方が他方を絶滅させないのかという、素朴な疑問が出発点です。理論的な説明がいろいろと試みられてきましたが、真実を確かめる実証研究が追いついていないのが現状です。実証研究の現場は、アフリカの古代湖から大学の裏山、果てはコンピュータの中の仮想生態系まで、本当にさまざまです。
この分野の面白さは、どんなところですか?
それぞれの生物個体は、基本的に自分自身の利益のために生活・行動する「ワガママ」な存在です。それぞれの生物種もまた、生態系の中で何かの役割を果たすために存在するわけではありません。にもかかわらず、自然生態系は多くの場合、たくさんの種類が比較的安定して一緒に暮らしています。これはとても不思議なことだと思いませんか? しかも、人の暮らしは、そのような自然に育まれた希少な生物、珍しい生物にも依存してきました。現在でも、特定の生物が持つ未知の成分が、難病の特効薬として脚光を浴びます。多様な生態系の安定の仕組みを知ることは、より多くの人類が幸福を享受し続けるために役立つのです。
受験生に向けて
受験勉強のコツを教えてください。
全国模試でだいたい100位以内だった私からのアドバイスは2つです。
(1)問題の向こうに、問題を作った作成者がいることを想像してみましょう(大学の先生が作っています)。出題者が何を企んでいるのか、何を試そうとしているのかが想像できるようになれば、どんな教科の点数も上がります。ついでに、少しだけ試験が楽しくなりますよ。
(2)文章で答えるときは、書く内容を最後まで考え終わってから書きましょう。当たり前のようですが、十分できていない人が多いようです。「慌てて書き始めちゃったのかな」という答案が少なくありません。
もし先生が先端理工学部の学生なら、どんなプログラムを組み合わせますか?
「生物多様性サイエンス」と相性がいいのは、「先端環境モニタリング」や「SDGs(持続可能な開発目標)」「データサイエンス」でしょう。専門分野を深く学べるのでおすすめです。
ただ私なら、「バイオニックデザイン」「リアル&バーチャルメディア」などと組み合わせる冒険をするでしょう。ちょっと風変わりな組み合わせにすると、それが自分の個性(武器)になるかもしれません。もちろん、自分が楽しめそうなものでないといけませんよ。