ニホンジカとの共生など、答えのない問題に取り組む
横田 岳人准教授
Taketo Yokota
専門領域・
研究テーマについて
専門分野について教えてください。
多様性に富んだ自然界は、生物種間の関わりの中で個体数の増減を繰り返しながらバランスを保っています。その中で、急激に個体数を減少させて絶滅に向けて加速する種もあれば、個体数を増加させてバランスを崩す原因になる種も、人間生活の中で軋轢を生む生物もいます。例えば、ニホンジカは平成の時代に入る頃から、各地で林業や農作物に被害を与え、自然植生への影響も甚大になってきました。このような生物とどのような関係を続けていくべきなのかを探るのが保全生態学です。人間社会との軋轢を生んでいるため、野生生物の個体数管理や増殖手法のニーズは年々高まっています。同時に、人と生物との関係性や外来種の問題等、倫理的な問題も絡んでいるため、自然科学の枠組みを超えた役割が求められています。
この分野の面白さは、どんなところですか?
生物を相手にする研究は、決まった答えがないことが魅力かもしれません。科学にとって客観性は大切ですから、私たちの認知できる範囲で客観的なデータを取り、科学的な解析を行って、その時点で最適と思われる答えを出していくことは、他の科学と同様です。しかし、相手が人とは限らず、意思の疎通もままならない生き物相手では、人の認知範囲で得た科学的結論が本当の真理であるとは限らないというところが、難しいところでもあり、面白いところでもあります。
受験生に向けて
受験勉強のコツを教えてください。
大学に合格するのが人生の目標ではありません。大学はあくまでも通過点です。自分の将来を見据えて、必要な勉強をしておくのが大事です。そのときに必要と思ったことをすれば良いだけで、それが将来に役立つかどうかは、その後の自分自身がそれを役立てるかどうかにかかっています。
「勉強」には知識と知恵が必要です。知識(情報)がいくらあっても知恵(処理技術)がなければ役立ちませんし、知恵(思考)を進めるには頭の中に知識(情報)を置いておかないと進みません。知識と知恵をバランスよく伸ばしてやるのが大事と思います。知らないことや知らない考え方を積極的に学ぶのが良いのではないでしょうか?
もし先生が先端理工学部の学生なら、どんなプログラムを組み合わせますか?
自分の視点を広げてくれるプログラム。自分の好きなことは自分で進んで勉強できますが、ひとつのものの考え方に陥りやすいです。いろんな考え方を与えてくれるプログラムなら、視野が広がるのではないかと思います。「SDGs(持続可能な開発目標)」は、理系なのか文系なのかよくわからないプログラムですが、幅広さという点では魅力的に思えます。