拡張現実感の研究はまだまだ取り組まれていない課題があって夢が広がる分野
池田 聖教授
Ikeda Sei
専門領域・
研究テーマについて
専門分野について教えてください。
拡張現実感とは特殊な眼鏡や自動車の窓を通して実際の風景を見ると,コンピュータグラフィクス(CG)によりそこには本来無いはずの物(仮想物体)が本物っぽく表示される技術のことです.特殊な眼鏡や窓をどうやって作るのか,仮想物体がどうやったら本物っぽく見えるのか解明するのが大きな課題としてこれまで研究されてきました.現在,その眼鏡もかなり小さくなってきましたし,仮想物体を表示する技術もある程度できるようになってきました.でも,実際に利用することを考えるとまだまだ技術的課題が残っています.
専門分野の面白さは、どんなところですか?
拡張現実感技術の研究の面白さは、物理や数学などの成熟した分野と違って、まだまだ歴史が浅いので、取り組むべき課題自体がはっきりしていないこともあります。そのため、誰もまだ取り組んでいない問題を見つけ出すことができれば、それをやるだけでいきなり世界で一番の研究ができる可能性があるということです。優れたアイデアと熱意があれば、高校生でも研究ができるかもしれません。物理や数学は積み重ねなければならない知識の厚みが厚いので、そうはいかないことを考えると、拡張現実感の研究はまだまだ取り組まれていない課題があって、夢が広がる分野だと言えます。
受験生に向けて
受験勉強のコツがあればお教えください。
効果的な勉強法は個々の学習量によって異なります。あまり勉強をしていないと感じる人は、興味を持つ科目の中で特に好きな範囲に集中して勉強します。教科書や参考書は面白くないのでお勧めしません。興味深いネット記事や動画を探し、試験の点数を忘れて深く掘り下げてみてください。そうすることでその分野の魅力が理解でき、周囲よりも知識が深まります。これによって自信がつき、次の勉強のやる気につながります。一方、既に頑張って勉強しているのに中々成績が上がらない人は、むしろ逆で苦手な分野ほど、少し勉強すれば伸びる可能性があります。何が原因で点数が伸びないのか、しっかり分析する必要があります。もし、計算ミスが原因なら新たな分野を勉強するよりも、ミスをなくす工夫をする方が効果的かもしれません。
もし先生が先端理工学部の学生なら、どんなプログラムを組み合わせますか?
私は、拡張現実感やバーチャル・リアリティに興味があるので、当然「リアル&バーチャルメディア」を主軸のプログラムとして選択します。その上で、拡張現実技術は人の感性や認知と深く関係がありますので、その部分の知識を強化するために、「スマート情報システム」をもう一つの軸として選択しようかと考えます。他にも拡張現実感に利用できそうな基礎技術として、「人工知能」や「IoT・通信ネットワーク」、「情報科学」などを組み合わせようと思います。